http://www.medwatch.jp/?p=2750  2015年度改定で新設された「定期巡回・随時対応サービスや看護小規模多機能型」(複合型サービスから改称)などの「総合マネジメント体制強化加算」は、「利用者の状態を常に確認しつつ、生活全般に着目して、日頃から主治医や看護師、ほかの介護サービス提供者との意思疎通を図る」ために特有のコストを評価するものです。  この背景には、「区分支給限度基準額」と、地域密着型における「報酬の高さ」の2点があります。介護保険制度では、居宅サービスの過剰な利用を防止するために、要介護度別に月ごとに利用できる保険サービスの上限(区分支給限度基準額)を設定しています。  一方、地域密着型では、複数のサービス(小規模多機能であれば「通い」「訪問」「泊まり」)を組み合わせているため、基本サービス費が比較的高く設定されています。このため、地域密着型を利用すると、すぐに上限額近くに達してしまい、利用促進が妨げられて 包括型サービスの報酬と区分支給限度基準額の関係 包括型サービスの報酬と区分支給限度基準額の関係 いました。  そこで15年度改定では、前述した「地域密着型に特有のコスト」を基本報酬から切り離して「総合マネジメント体制強化加算」とし、これを区分支給限度基準額の外に出すこととしたのです。これにより、上限までの余裕が生まれ、福祉用具貸与などほかのサービスと併用しやすくなると期待されています。  総合マネジメント体制強化加算を算定するためには、次の2つの要件を満たす必要があります。 (1)個別サービス計画について、利用者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえ、介護職員や看護職員等の多職種協働により、随時適切に見直しを行っていること (2-1)病院・診療所等に対し、日常的に、情報提供を行っていること(定期巡回・随時対応型と看護小規模多機能型) (2-2)地域における活動への参加の機会が確保されていること(小規模多機能型、看護小規模多機能型)  (1)の個別サービス計画の見直しは、多職種協働で行わなければなりませんが、Q&Aでは▽内容に応じて適切に関係者が関わればよい▽通常業務の中で、主治医や看護師、介護職員などの意見を把握し、これに基づいて見直しが行われればよい―ことを明確にしています。全職種が集まった会議やカンファレンスを開く必要はありません。  また(2-1)の病院・診療所などへの情報提供については、「○か月に1回」などの頻度を定める必要はなく、地域密着型の事業所と、病院・診療所の間で「必要に応じて適時・適切な連携を図る」ことで差し支えないことが明確にされました。また、加算を算定するために新たに書類を作成する必要もなく、サービス提供記録などから連携状況が確認できれば十分です。  厚労省老健局振興課の高橋謙司課長は「定期巡回・随時対応型などに求められる役割を果たしていれば、加算を算定できるようにしたい」と述べており、従来通り適切に地域密着型サービスを提供していれば、総合マネジメント体制強化加算の要件を自動的に満たすことになると考えられます。